霊媒 探偵 城塚 翡翠。 gma.vapur.us:カスタマーレビュー: medium 霊媒探偵城塚翡翠

小説『medium 霊媒探偵城塚翡翠』ネタバレ解説と感想!傑作だけど不満も

霊媒 探偵 城塚 翡翠

第一話『泣き女の殺人』• 第二話『水鏡荘の殺人』• 第三話『女子高生連続絞殺事件』• 最終話『VS エリミネーター』 3つの事件で香月と翡翠の仲が深まっていき、最終話ではラスボスである 謎の連続殺人鬼と対決!という流れですね。 まあ、こいつはわかりやすくサイコパスです。 どうやら過去に大切な女性の腹からナイフを引き抜いた経験があるらしく、そのトラウマが一連の事件の原因になっているようだ、と読者は察します。 ネタバレすると、鶴丘は幼少期に強盗に襲われた義理の姉の腹からナイフを引き抜き、結果としてとどめを刺してしまったのでした。 獲物からナイフを引き抜きながら「痛いか? 痛くないだろう?」という鶴丘のセリフは、 「自分のせいで義姉が苦しんだ(死んだ)わけではない」と自己正当化したくて口から出ている言葉です。 被害者が「うん、痛くないよー」なんていうはずもないので、鶴丘の『実験』は終わりません。 そして鶴丘はついに翡翠に目をつけました。 翡翠は降霊できるので、 鶴丘は《義姉の霊》を翡翠に降ろさせようと考えたんですね。 「あれ? 連続殺人鬼の正体って香月史郎じゃない?」 ミステリ好きとか関係なく、それはもう「1+2=3」くらいのわかりやすさでした。 あからさますぎて「さすがにミスリードだよね?」と不安になるレベルです。 翡翠は霊視によって問答無用で犯人を当てられるのですが、その能力には 「罪悪感を感じないサイコパスは見抜けない」という欠点があります。 だから、もし香月が連続殺人鬼だったとしても翡翠にはわからないんです。 ……というか、そんな設定がある時点で (メタ的に)「やっぱり香月が犯人だよなぁ」と思わざるを得ませんよね。 第3話までで香月と翡翠が 「マジで恋人になる5秒前」みたいな甘い関係に進展しているのも、こうなるとラストのためのフラグとしか思えないし……。 ご注意ください。 驚愕の結末! 結論からいえば、真犯人は主人公の香月史郎です。 え!? はい、なんのひねりもないですね。 ……ここまでは。 もちろんこんな安易なオチだけで「このミステリーがすごい!」第1位に輝けるはずがありません。 《本当の真相》は真犯人が明かされた直後に訪れます。 翡翠のこのセリフは、本当に衝撃的でした。 「どういう、意味だ……」 「お姉さんの霊を呼ぶ? そんなの、できるわけないでしょう。 ここだけ切り取ると「まあ、ありそうな話だよね」と思われるかもしれません。 でも、ちょっと待ってください。 これまでの3つの事件は、すべて翡翠の霊視によって解決しているのです。 殺害現場に足を踏み入れて数秒で犯人を言い当てる• 遠く離れた犯人の居場所を言い当てる• 降霊によって被害者しか知りえない情報を口にする 翡翠の霊視がなければ、どの事件も解決は不可能でした。 霊視がすべて嘘っぱちだったとしたら、翡翠はどうやって事件を解決に導くヒントをもたらしていたというのでしょうか? 答えはひとつ。 翡翠は常識はずれの推理力によって瞬く間に事件の真相を見抜いていたのです。 そのうえで翡翠は霊媒の演技によってヒントを与え、 香月に事件を解決させていたんですね。 それまでの翡翠は 『世間知らずのお嬢様で、性格は無邪気で純粋』 『他人の不幸に心を痛め、自分の力を役立ててほしいと願う少女』 という印象だったので、この《黒幕》な本性には心底驚かされました。 さて、ここで浮かぶ疑問は2つ。 ) それぞれについて見ていきましょう。 Why done it? これについては翡翠に自己紹介してもらうのが一番わかりやすいでしょう。 「わたしは、探偵ですよ。 先生のような社会の敵を排除するのが、わたしのお仕事です」 つまり翡翠は警察に協力する探偵であり、目的は最初から世間を騒がせる連続殺人鬼を捕まえることだったんです。 翡翠は自分のことを奇術師と表現していて、メンタリズムが使えると説明しています。 第一印象から香月のことを怪しいと思った翡翠は、 霊媒として香月の助手をつとめるふりをしながら、実は香月が犯人である確証を探っていたというわけです。 香月は自分の意志で翡翠をターゲットにしたつもりだったのですが、実はそれも翡翠の手のひらの上。 翡翠は自分をおとりにして、わざと香月に襲わせることで、証拠をまったく残さない連続殺人鬼の正体を暴いたのでした。 How done it? では、次に翡翠が事件の真相を見抜いた方法について。 ひとつひとつの事件の詳細を説明しだすと膨大な量になるので省略しますが、要するに 『誰も気にしないようなちょっとした矛盾』 をとっかかりにした論理展開によって、翡翠は犯人やトリックを見抜いていたのでした。 たとえば、第一の事件。 被害者の遺体の近くには「ほんのわずかな水滴」が落ちていました。 それは 『泣き女 (霊)の涙』ということで処理されていたのですが、ラストで霊能力などないと否定されたことで意味が変わってきます。 翡翠はそれを「溶けて蒸発しきらなかった氷の名残」だと説明しました。 もうホントざっくりとした要約ですが、• なぜ氷が落ちていた?• アイスコーヒーのための氷だろう• それは来客があったことを意味している• 部屋が片付けられていなかったことから親しい女性ではないか みたいな流れで芋づる式に犯人までたどり着いちゃうんです。 この謎解きのおもしろさは読まないとわからない部類かもしれませんが、どうしてもお伝えしたいのでもう少しおつきあいください。 『medium』のおもしろさとは 引き続き「第一の事件」を例にしますね。 必要な情報はぜんぶ提示されているので、実は読者も『水滴』に違和感を覚えられれば、翡翠と同じ推理が (理屈の上では)できたはずなんです。 でも、わたしの感想としては 違和感ゼロでした。 今振り返ってみると、それは霊媒や霊視の存在を前提にしていたからだと思います。 「水滴は泣き女の涙」と意味づけされている以上、そこに謎はもうないんです。 謎がないので、それ以上「泣き女の水滴」について考えることはしません。 まして事件はそのまま解決されてしまいます。 いわば『翡翠には霊能力がある』という偽の前提のせいで 思考停止状態になってしまって、 「あの水滴はどういう意味だったのだろう?」 と考えさせてもらえなかったわけです。 なので、最終話で第一の事件の《本当の謎解き》が始まったときには なにごと!? と思いました。 寝耳に水です。 香月の謎解きは• 翡翠が霊視のふりをしてヒントを出す• 割れて散らばったグラスのかけらの中にメガネのかけらが混ざっていることに気づく• 犯人はメガネをかけた人物 みたいな手順だったのですが、 翡翠の《真・謎解き》は霊視がないので、ロジックがより複雑です。 水滴がある• そういえば昨晩の気温は低かった• 犯行推定時刻に大きめの氷が落ちていたとすれば蒸発しきらずに水滴が残っていてもおかしくない• (中略)• グラスがその位置で割れているのはおかしい• 偽装工作?• 犯人が証拠隠滅しなかったのは、できない理由があったから• 犯人はメガネを壊してしまい、視力が落ちたため証拠隠滅できず、偽装工作をしたのでは?• 犯人はメガネをかけた人物 手順が多い! ミステリ小説の謎解きは、ふつう 「謎が解けない! お手上げ!」 という読者に対しての答え合わせですよね。 一方で、『medium』はラストになってはじめて 「霊能力なんてありませんでした。 さて、本当はどうやって謎を解いたのでしょう?」 という謎が突きつけられます。 読者は慌てて最初から読み直すか、すっかり降参して本当の謎解きを読むかの二択を迫られるわけです。 ミステリファンなら「やられた!」と思いながら推理を巡らせる楽しさが味わえます。 一般的な読者の場合は「こう論理展開すれば霊能力なしでも解けたよ」という ピタゴラスイッチみたいな謎解きに圧倒されるおもしろさを味わえます。 第二の事件、第三の事件にもすごいロジックの謎解きが用意されているので、未読の方はぜひ読んでみてください。 「霊能力はない」というネタバレを知っていても解けないレベルで難しいです(笑) 物語の結末は? 『一切の証拠を残さない連続殺人鬼 vs 人の心を自由自在にもてあそぶ奇術師』 より上手だったのはもちろん翡翠のほうですね。 翡翠は• 香月しか知らない秘密の山荘で• 厳重に縄で縛られた状態で つまり、絶体絶命の状態で謎解きを行っていたのですが、それは時間稼ぎのため。 会話のすべては刑事の鐘場正和に筒抜けでした。 謎解きシーンの邪悪キャラは、そんな演技でもしないと自分を保てなかったから。 本当は香月のことをワトソンとして (そして男性として)信じたいと思っていたのに……と傷ついている様子は読者が安心するような「いつもどおりの可愛い翡翠」でした。 つまり読者は最後の最後で再び 「あっ! 翡翠の素はこっちか! 謎解きシーンのキャラの方が演技だったんだんだな」 と認識を改めることになるのです。 あっと驚く裏切りの連続! 『medium』は最後まで読者に「やられた!」という驚きをもたらしてくれる傑作小説でした。 感想 『medium 霊媒探偵城塚翡翠』の読後、不思議なことにわたしは背反する感想を同時に抱きました。 「これは確かにすごすぎる作品だわ! ミステリ賞総なめにも納得!」 というポジティブな感想と、 「いや、これはちょっとどうなの? そんなにおもしろいか……?」 というネガティブな感想です。 今回はそれぞれの感想をわけてお伝えしたいと思います。 (中略) わかりやすい謎を提示し、 あえて読者に解かせ、それを解決しないまま物語を進めて、まったく違う答えや隠されていた最大の謎を示すのです」 これは翡翠が香月に放ったセリフですが、わたしには作者から直々に種明かしをされたように感じました。 『medium』は「ラストに驚愕!」と帯にも書いてあるような小説だったので、わたしも 「よーし、謎を解いてやろうじゃないか!」 と意気込んで小説を読み進めていました。 そして 「あっ! これは香月が犯人だな!」 と、まるで鬼の首を取ったようにしめしめと思っていたのです。 だというのに、ラストに待ち受けていたのは翡翠からの冷笑。 「あっ……手のひらの上だったのね……」 と恥ずかしくなりました。 そして同時に、 『霊能力などない=これまでの3つの事件をどうやって解決したのかという謎を解かなければならなくなる』 という展開にはしびれました! 「2周目で読み味が変わる小説」には出会ったことがありますが、 『ラスト60ページの時点で最初から読み直すことになる小説』 に出会ったのははじめてです。 生粋のミステリファンならここで真っ向から『読者への挑戦状』に取りかかるところでしょうが、わたしはもう心がぽっきりと折れてしまったのでそのまま読み進めました。 結果としては「あ、これは読み直してもわかんなかったわ」としみじみ思ったので正解だったと思います(笑) 香月は最後まで「そんなバカな……」みたいなリアクションをしていましたが、あれはまさにわたしの心情そのものでしたね。 謎解きを読めばもちろん納得せざるを得ないのですが、どこか狐につままれたようなポカンとした気持ちでした。 哀れ、香月。 相手が悪かったよ……。 個人的には「香月史郎と鶴丘文樹はアナグラムじゃないか?」と疑いつつ解くことができなかったので、せめてそこだけでも見抜きたかったですね。 不満に思ったこと 率直な感想を一言で表現するとこうなります。 「わかるわけがねェ!」• 負け惜しみ• 力不足 と言われればそれまでですが、あまりにも難しすぎると感じました。 たとえるなら 『バラエティのクイズ番組を見てたらいきなり東大の入試問題が出題された』 みたいな気分です。 まったくなんなんですか。 やれ、 「気温が低いと描写していたのだから大きめの氷が解け残って水滴になっていたことくらい察しろ」 (第一話) だの 「本の見本が9冊なのはおかしいから、10冊あったと考えるべきだろう」 (第二話) だの 「セーラー服のスカーフのネクタイ結びくらいわかるよね?」 (第三話) だの あらためて声を大にして言いたい。 「わかんないよ!」 翡翠は「誰にでも公平に謎を解くチャンスがあった」と説明していますが、正直、そうは思いません。 しかし 「前提から疑って、何もないと思えるところを想像で補って、嘘をつかれていたと仮定して、謎を解いてごらん」 というのは、もうゲームが違いませんか。 「霊視ありの解決」と「霊視なしの解決」を両立させる緻密な構成には舌を巻きましたし、素直に敬意を払います。 でも、その代償として難易度がベリーハードモードになっちゃいませんか。 他の人の感想を読んでいないので、もしかしたらわたしの不満は少数派なのかもしれません。 「そんなことないよ! わたしはふつうに読んで解けたよ!」という人はぜひコメント欄で教えてください。 あなたと同じ空の下で、わたしが「世の中は広いんだな……」ともれなく遠い目になります。 総評 『medium』のおもしろさの大部分はラストに待ち受けている驚きの展開にあります。 翡翠による謎解きをどう受け止めるかで読後の感想は大きく変わることになりそうです。 わたしの感想はといえば、正直、複雑なところ。 「この伏線の置き方はすごい!」と思う一方で「でも、この難しさはちょっと理不尽の領域に足突っ込んでるのでは?」とも思いました。 実は『medium』を読む直前に「このミステリーがすごい!」第3位にも選ばれた小説『魔眼の匣の殺人』を読んだのですが、個人的にはそっちのほうが楽しめました。 今振り返ってみると、その差は 「感情移入できるかどうか」にあったのではないかと思います。 『medium』ではラストへの伏線として、香月と翡翠の関係はどこかつくりものくさいものでした。 上っ面を演じているにすぎないというか、どこか嘘くさいというか。 というか、そもそも語り部としての香月が読者に正体を隠しているのですから、感情移入なんてできません。 もちろんそれも作者の意図だとは思いまが……。 《まとめ》 つまるところ『medium』は『ミステリとしての完成度を極限まで追求した作品』なのだと思います。 犯人やトリックの真相を推理したいタイプの本読みさんにはこれ以上ないほどイチオシです。 一方で、• キャラクター• 人間関係• ストーリー などミステリ以外の部分も楽しみたい本読みさんに対しては、ひとまずストップをかけたいところ。 個人的には2年前に同じく3冠を達成した『屍人荘の殺人』や、その続編である『魔眼の匣の殺人』のほうをおススメします。 3行まとめ• 霊視によって事件を解決してきたはずが、実は霊視なんてなかった!• さあ、君は論理的に道すじを立てて「どうやって事件の真相を見抜いたのか」を説明できるかな?• これはわたしの感想ですが、万人受けする作品ではないと思います。 繰り返しになりますが探偵よりも早く真相を推理するのが楽しみなタイプの方には超絶おすすめです。 一方で、キャラクターや物語を楽しみたい人には、特におすすめはしません。 とはいえ、ラストの謎解きには一見の価値はあると思うので、気になる人は読んでみるといいと思います。 ぜひ読後の感想をコメントで教えてください! 「香月史郎」というのはペンネームで、本名は「鶴丘文樹」ではないか? アナグラムとは気づきませんでした 笑 そして、「香月史郎」こそが連続殺人犯だろう、 という結末自体はうすうす感づいていました。 読み始める前、あらすじを見て、 城塚翡翠こそが連続殺人犯の正体であり、霊媒云々というのは犯人だからこそ知り得る情報だと悟られないためのカムフラージュではないのか、 と先読みしていたのですが、見事に裏をかかれてしまいました。 なんとなく翡翠は怪しいな、と思いながら読んでいたのでたいした驚きはありませんでした。 福島出身です 笑 読んでいて香月が犯人とわかったときには「推理小説の禁じ手じゃん(笑)」と読むのをやめようかと思いました。 ですが、じゃあこの残りのページは何なんだ?と最後まで読んだのですが、全部読んでよかったです。 どんでん返しがとても楽しくて、評価が一転しました。 第3話は、「凶器がマフラーかと思ったが、夏にも犯行は行われていた」というヒント部分で、凶器がスカーフで、スカーフの交換と称して絞殺したんだな、というのはわかりました。 ですが、第1話と第2話は全くわかりませんでした。 たしかにヒントが少なすぎて難問ですね。 自分で推理したい人よりも、最後の答え合わせで伏線を回収していく様を楽しみたい人向けなのかな、と思いました。 ご指摘の二点は、明確な説明が売りの「medium」のなかでもやや説明があいまいだった部分ですね。 男たちに絡まれた件については「グルだった」ととれるような発言を翡翠はしていますが、「わざわざそんなことするか?」という違和感は残りました。 実は翡翠は本物の霊媒師で、「グルだった」という説明のほうが後付けだったと解釈したほうがしっくりきます。 同様に倉持の危機を最初に言い当てたのは 「霊媒師の能力でわかったから」とも考えられますし、 「なにかしらの意図(あるいは下調べ)があってのことだった」とも考えられます。 最後まで小説をじっくり読んでも「翡翠は本物だった」と断言することはできません。 しかし、逆に「偽物だった」という説明にも穴が残っています。 翡翠が本物だったのか偽物だったのかは、読む人の解釈に任されているような印象ですね。 個人的にはわたしも「翡翠は本物だったんじゃないかな(だったらいいな)」と思っています。

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小説『medium 霊媒探偵城塚翡翠』ネタバレ解説と感想!傑作だけど不満も

霊媒 探偵 城塚 翡翠

この方の作品を読むのは初めてで、レビューやSNSで大絶賛されていたので購入しました……が、推理小説が好きで色々な推理小説をよく読む人(または二時間サスペンスでテレビ欄を見て犯人を予想する人)は、タイトルとあらすじを見て犯人の目星がつくのではないでしょうか? 読み始めて暫くして「あぁー……やっぱり、そうなる?」となり、第一話のインタールードを目にして目星が確信へと……。 『このトリックは本物です』や『覆される快感』『大どんでん返し!』等と称賛の嵐だったので、まさかこんな推理小説の定石通りでは終わらないだろうと期待をして読み進めていけば、段々と嫌な予感が……まさかまさかの期待を裏切ってくれないまま終了……。 一話に割けるページ数と登場人物が少ないのですぐに犯人もトリックも分かります。 (今作の根底はそこには無いと思いますが……)最後に期待した大どんでん返しも無いまま……肩透かしを食らいました。 全体のストーリーは悪くはないので、ミステリ小説ではなく、ライトノベル感覚で読めば星4でしたが、如何せん過剰な宣伝にミステリ小説としての期待値を上げてしまったので、その分の落差が……。 『令和元年最驚の謎』と過剰な宣伝文句が書かれた帯とレビューを見ずに、この作品と出会っておきたかったです。 このミス他の2019年の評価が高かったので年末年始に一読致しました。 確かに物語の「構成」としては、数段重ねで工夫していると思います。 但し、勘の良い読者なら途中で気付く方も多いかと。 小生も、途中から「嫌な」予感がしていて(最終話手前ではほぼ確信に変わりましたが…)、正直、当たってしまいました。 違和感のあった一つが、女性主人公のイメージと表紙の絵の乖離です。 意図的かもしれませんが、これはかなりの暗示となっています。 多重的な推理をめくって行く構成には敬服致しますが、最終話では、悪い予感が当たってしまったショックに加え、作戦とは言え全く品性のない解説が延々と続き、かなりウンザリしてしまいました。 正直、後味は最悪に近かったです。 論理性や意外性を追求する本格的なミステリーファンより見れば、なかなかやりおるとの評価となるかもしれませんが、小生の様な凡百の読者は、フィクションに関しては、主人公にある程度、感情移入しながら楽しみたいものです(これも意図的と思いますが、ラノベ風味も交じっていたので、本作は特にそう思っていました)。 全四話のうち三話までは、主人公の霊媒師が霊視したことをヒントに、もう一人の主人公である推理作家が論理的に証明する事で事件解決するというもの。 その設定は面白いものの、トリックや動機は過去何回も見たことがあるものですし、主人公二人の恋愛要素も出てきて、最近はこういうのを入れないと売れないのかなぁと思いつつ呼んでました。 『全ては伏線』となってなければ途中で読むのをやめていたかもしれません。 でも最後まで読んで、作者の意図どおりに気持ちよく騙されて、面白かったです。 ラノベだとのレビューも散見されますがそれすらも伏線になってると思いますし、自分はちゃんとしたミステリーだと思いましたよ。 読み始めてから、このシリーズは続けてほしいなと思いました。 有栖川有栖さんの「濱地健三郎の霊なる事件簿」と最初の設定は似ています。 霊からヒントを得て、でもそれだと証拠にはならないので、そこに結び付けて推理を進めていく。 濱地健三郎の~方も続編を期待していますが、medium 霊媒探偵城塚翡翠を読み終わったときに、これは続編は不可能と確信しました。 少なくとも今の登場人物では。 ネタバレにならないように書くのは難しいですが、いきなりの展開に、それはアンフェアでは?とがっかりしました。 でもそのあとさらにそれをひっくりかえしたラストが待っていて、そうきたか・・・!読み応えありました。 特に最後の謎解きや、立場がどんどん変わっていくところが。 面白かったです。 書店の店員さんが凄くお薦めしていたので信用して読んでみました。 「どんでん返しがある」「予想もつかないラストが待っている」と煽られてワクワクして読み始めたのですが… 私には浅くて軽いミステリーに感じました。 ミステリー好きなら途中で気付いてしまうと思います。 あの連続殺人犯が誰かって。 むしろ最初から犯人を明かしてから展開した方がずっと面白くなったんじゃないかなーと思いました。 それから最後の種明かしみたいな部分はしゃべりすぎです。 そりゃあ喉も渇くはず。 読んでる方も一気に語られて何がなんだか…あの部分がなければ良かったのになと思いました。 翡翠が主役なのか狂言回しなのか、どういう人物なのかがいまいちわかりませんでした。 あの書店の店員さんにはもっとたくさん本を読んでほしいです。 殺人事件が起きたら警察の刑事が捜査するのが普通。 それが何時のころからか私立探偵が登場し、主役の座を奪 っている。 その後、物理学や数学の教授だったり推理作家或いは普通のサラリーマンだったりする。 本書では何と 霊媒師と作家のコンビである。 オカルトとミステリーの組み合わせなんて成立するんだろうか?犯人が分かりましたとか、霊のお告げがありま したでは証拠にならない。 それをどの様に物的証拠に結び付けるのか、或いは犯人の自白に追い込むのかが作者の 腕の見せどころ。 理論構築が迫力ある筆致で読者に迫る。 そう来たか!と唸らせる。 どんでん返しに継ぐどんでん返し、押し寄せ る理論の嵐。 そこまでやるかの謎解きに完全にノックアウトされました。 繊細な筆致でヒロイン・城塚翡翠の人間 像を描き上げている、と同時に物語の流れがスムーズで読みやすい作品でした。 この収束の仕方ではおそらく続編 は出ないだろうな・・・。

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【感想】『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』/相沢沙呼:すべてが、伏線!?

霊媒 探偵 城塚 翡翠

作家になって丸10年を迎えようとしています。 これまで、主に「日常の謎」と呼ばれるジャンルを書いてきました。 しかし、僕はずっと思い悩んでいたのです。 ひょっとすると、自分にはミステリを書く才能がないのではないか……。 いろいろなお話を書いてきましたが、どちらかといえば、ミステリではない青春小説を書いたときがご好評を頂けているような気もしていました。 講談社タイガで書かせていただいた『小説の神様』が映画化の運びとなったとき、僕は思ったものです。 「めちゃくちゃ嬉しいけれど、代表作がミステリではなくなってしまう!! 」 いずれ、僕が鮎川哲也賞出身作家であることを忘れてしまう人々も現れるのではないか……。 この前も、どこかの編集さんが、「相沢さんってミステリも書けそうな作風ですよね」とか言っていたらしいぞ……。 よし、このまま青春小説を書き続けるか……。 ところがその最中、ありがたいことに、2017年に書いた『マツリカ・マトリョシカ』を第18回本格ミステリ大賞の候補作に選んでいただきました。 本格を愛する方々が、候補に選んでくださったのです。 このことは、自分の中に大きな意識の変化をもたらしてくれました。 この作品をミステリとして好きだと言ってくれた人たちに、お礼をしたい。 期待に応えたい、と思ったのです。 作家になって10年目、自分なりの「本格ミステリ」を書こうと決意しました。 いずれ書いてみたい、と思って眠らせていた作品の構想が、今ならまとめられるかもしれない。 今回は「日常の謎」ではなく、自分が初めて挑んだ、殺人を扱ったミステリです。 少し変わった設定のお話ではありますが、そこに自分なりの本格のエッセンスを取り入れてみました。 相変わらず自信というものからは程遠い性格をしているので、10年の節目に相応しい作品になったかどうかはよくわかりませんが、読んでくださった書店員さんたちが喜んでいただいたので、そこそこうまくできたような気もしています。 いつも、僕の作品を好きだと言ってくださる皆さんがいるからこそ、書けたお話です。 この場を借りて、お礼を申し上げます。 相沢さんにしか書けない、論理と驚きを内包した、そして繊細なこれまでにないミステリを一緒に作りたい。 そんな無茶ぶりに応え、相沢さんが書きあげてくれた作品が、本作『medium 霊媒探偵城塚翡翠』です。 一読して、いや、読みながら驚愕しました。 端正なロジック、驚愕のトリック、繊細な物語。 僕が相沢ミステリに求めるすべてが、いや、それ以上のものが、この物語にはありました。 プルーフをお読みいただいた書店員さんからは、すでにすさまじい数の大絶賛、絶叫コメントが寄せられています。 この傑作を読者にきちんと届けられなければ、それは100%出版社の責任です。 読んだ後、語りたくなるミステリです。 どうか、最後まで、お読みください!.

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