こんこん 小山 の 子 うさぎ は なぁ ぜ に お 耳 が 長 う ござる。 甚句の系譜 甚句の歴史 盆踊りの歴史 甚句 盆踊り 口説き 歴史 日本の歴史 雑学の世界 娘への遺言

アニカラ新譜情報/UGA・B

こんこん 小山 の 子 うさぎ は なぁ ぜ に お 耳 が 長 う ござる

「禰豆子ちゃんは良い子ねぇ」 そう言って頭を撫でる手が好きだ。 お兄ちゃん 誰かさん の手には負けるけれど。 「こんこん小山の子うさぎは…なぁぜにお耳が長うござる…」 ああ、その唄は知ってる。 誰かが唄っていたのを、聞いたことがある。 …… お母さんだったかな? 誰だったっけ? でも、どうして、この人が知ってるんだろう? 「小さい時に母様が… 長 なーが い木の葉を食べたゆえ…」 優しくて、柔らかくて、暖かい声。 疑問なんて、どこかに飛んでいってしまう。 お母さん 誰か も、こんな風に唄っていたのかもしれない。 ……ううん、きっと、そう、こんな風に唄っていた。 泣きたくなるくらいの、 幸せ 悲しみ の匂いがする。 けど、俺のせいではないとも思う。 だって、それだけ衝撃的だったんだ。 年上なのは分かってたけど、まさか干支が一回り以上も離れているとは思っても見なかった。 申告してきた 季節さん 本人 は、困った顔で本当だよ、と言っている。 それでも信じられなくて、すがるように見たカナエさんは、清々しい笑みを浮かべてこう言った。 「十歳以上歳が離れているからって、それが障害になるとは思ってないわ」 そんなカナエさんの膝の上では、どこからともなくやって来た禰豆子ちゃんがすやすやと寝息を立てている。 可愛い。 炭治郎と一緒に行ったのかと思ってた。 とても可愛い。 参ったな、と頭を掻く季節さんの顔は赤い。 相変わらず仲睦まじくて羨ましい限りですね。 爆発して欲しい。 絶対カナエさんを幸せにしてあげなくちゃダメですよ。 この色男め。 季節さんの顔を見ていて、とても表情が豊かなんだなと思った。 お面をつけたままでも、結構豊かだったけど、余計に。 というか、お面をつけてるときは意図的に感情を表に出していたんだと思う。 喜怒哀楽がはっきりしている。 けれど、その身から聞こえてくる音は雨の音だ。 不思議だよね。 「お館様も含めて、鬼殺隊内で一番上なんだ。 煉獄が赤ん坊だった頃の姿も知ってるよ」 なんか、またとんでもないことを言い出したぞこの人。 え?何て??煉獄さんの赤ん坊時代???? 「あの……ちなみに、なんですけど」 「うん?」 「煉獄さんって、何歳なんですか?」 「確か今年で二十だったかな」 「にじゅう」 「そう、二十」 「私の二つ下ね」 「カナエさんのふたつした」 「そうよ」 ちょっっっっっっと待って??あの煉獄さんが??二十歳????え????はぁ???? 「え、嘘じゃなくて??」 「嘘じゃないなぁ」 若くね??????思わず真顔になりながら、叫ぶのも忘れて考え込む。 え?若いな??もうちょっと年上かと思ったんだけど、煉獄さん、俺と四歳しか違わないの??それで柱??あっ、でもしのぶさんは俺と二歳違いで柱か。 そして、一瞬だけ真顔になると、苦笑を浮かべて沁々と言った。 その実力は本物だし、物言いにちょっと難はあるが、弱きを助け、護ろうという気概は柱に相応しいものだと思う。 …けれど、俺よりも二回り近く年若い、幼いと言っても過言ではないあの子に、刀を握らせてしまったことが心苦しくもある」 しとしと、と。 消え入りそうなほど静かな雨の音が聞こえてくる。 これは、季節さんの心が奏でる、悲しみの音なんだと思う。 小雨ほど強くはなく、霧雨ほど弱くもない。 何とも言えない、絶妙な静けさを奏でる雨の音。 「鬼舞辻無惨を倒さなければ、無一郎のような子が増えていく。 それは、避けたい。 だから、急がなければならない。 その時の季節さんの瞳が、鬼の目のように見えたのは、俺の見間違いだったのだろうか。 **** 息子が生まれてから三か月後、奇妙な格好の客人が煉獄家に訪れた。 それは、左頬に三つ雫が描かれた狐の面を被り、朝焼け色の羽織をまとっていた。 年の頃は十代半ば、性別はどちらとも言えない。 声を聴けばどちらか判別付きそうではあるが、その狐面の人は一言も喋ろうとはしなかった。 たまたま任務もなく家にいた槇寿郎は、この客人に困惑した。 用向きを尋ねても無言、中に入るよう促しても無言ときた。 その声を耳にして、槇寿郎は思わず手紙を取り落とした。 少年期独特の甲高さは無くなっているが、その声に聞き覚えがあったからだ。 「お前、季津か」 ニィッ、と。 無機質な狐の面が、笑ったような気がした。 二年ぶりに再会した季津は、今年で十四だと言う。 確かにそれくらいの年に見える、と槇寿郎が言えば、偉そうに胸を張る。 それがどうにも癪に触って、小さいことには変わりないと頭を撫で繰り回してやった。 「やめろ!!せっかく成長期が仕事してんのに、縮むだろうが!!」 何とも不思議な言い回しに笑い、名残惜しかったが頭から手をどけてやる。 そうして、上から下までまじまじと、季津のことを見つめた。 黒の隊服は鬼殺隊の物だし、その腰に差された刀は勿論日輪刀。 その反対の腰には脇差があるが、その柄を見る限り、以前使っていた日本刀を短く摺り上げたものと察する。 猫の毛のように柔らかな髪は、雨が上がったような色合いをしていて、朝焼け色の羽織によく似合っていた。 狐の面の下には、あの新緑色の目が隠れていることだろう。 そんな言葉が脳裏を過り、喉が引き攣る。 鼻の奥がツン、と痛み視界が霞んだ。 「何で泣いてんだよ」 「歳を取ると涙腺が弱くなるんだ」 「俺と六つしか違わねぇじゃん」 情けねぇなぁ、と。 笑う気配をさせながら差し出された手拭いを受け取って、槇寿郎も笑みを浮かべる。 「自己紹介をやり直そう」 ぐい、と涙を拭い、深呼吸を一つ。 二年前よりも大きくなったその姿をしっかりと見やり、槇寿郎は言った。 「俺は、煉獄槇寿郎。 恐れ多くも炎柱を任されている。 君の名を教えてもらっても良いだろうか?」 ぐい、と面が上げられ、新緑色の双眸が覗く。 整った顔つきは健在で、涼しげな目元に笑みが浮かんだ。 「俺は、季節津衣鯉。 昨年鬼殺隊に入隊したばかりだが、階級は 丁 ひのと だ!!」 ほう、と感嘆の息が零れる。 「一年でそこまで階級を上げたか……無理をして身長が止まるのではないか?」 「止まんねぇよ!?まだまだこれから伸びるんだよ!!」 「しかしなぁ…鬼殺隊の活動は夜間であるし、いくら伸び盛りとは言っても、任務が連日続けば体にも影響はあるだろう」 「そ…れは、そう、かもだけど……」 「育手の方に心配されてはいないか?」 「そんなへましねえ」 「なるほど、猫を被っているのか」 「被ってねーし!!鱗滝さんの前でもわりと素のままだし!!口調は気をつけてるけど…」 「それを、猫を被っている、と言うのだ」 「……」 「……ふ、」 勝った、と思った。 高々一度会った事がある程度の槇寿郎に、育手よりも砕けた態度で接しているという事実に頬が弛む。 鱗滝、と言えば水柱を務めた実力のある剣士だったはずだ。 その彼に師事したとあれば、階級の上がり具合にも納得がいく。 何より、津衣鯉自身が、剣の才に恵まれているのだ。 「今一度、問うてもよいだろうか」 「ん?」 頭を撫でていた手を降ろし、表情を引き締める。 空気が変わったのが分かったのだろう、津衣鯉も面を取って槇寿郎の顔を真っ直ぐに見上げた。 「何のために刀を取った」 それは、二年前の繰り返しのようで。 じんわりと滲むように薫る雨の匂いに、ゴロゴロと遠くで雷が鳴っていた。 その眼差しは槇寿郎を貫かんばかりに愚直で、ほんの一瞬だけ、気のせいかもしれないが。 「 鬼の、目だ 」 瞳孔が縦に割れたように見えた。 視線を逸らすことも出来ぬまま、互いに見つめあっていると、ぎゃあぎゃあと家の中から凄まじい泣き声が聞こえて来た。 その声に大仰に肩を跳ねて飛び上がった津衣鯉に笑い、上がっていけ、と背中を押す。 まるで借りて来た猫のように大人しくなり、小さな声でお邪魔します、と言う姿は、先程までの異質さはどこにもない。 むしろ年相応さすら感じられて、槇寿郎は酷く安堵した。 奥から妻が息子をあやしながらやってくる。 その姿に口を開けて釘付けになっている津衣鯉に、槇寿郎はまた笑った。 竈門禰豆子 珍しく 炭治郎 お兄ちゃん に置いていかれた妹。 しのぶさんが怪我が治るまで気を利かせて預かってくれただけでなく、カナエさんがめちゃくちゃ構ってくれるのでめちゃくちゃ懐いた。 たぶん、喋れるようになったら、 炭治郎 お兄ちゃん の次くらいにカナエさんの名前を呼ぶと思う。 お気に入りはカナエさんのお膝の上。 季節とのファーストエンカウントは18歳の頃、炎柱になる直前くらいを想像。 瑠火さんとは既に結婚していて、子供が出来るのをウキウキと待っていた。 季節が藤の家紋の子であると知り、後日その家が鬼に襲われたかもしれないと聞いてめちゃくちゃ心配した。 セカンドエンカウントは二年後。 槇寿郎は20歳、息子が生まれた3ヶ月後にひょっこり現れて、めちゃくちゃ安心したし、涙ちょちょぎれた。 ただし、顔面に手紙を叩き付けてきたことは許さない 手紙はお館様からの物でした。 季節のことは名前で呼ぶ。 この後、季節との合同任務が増え、季節のストッパーをやりながら徐々に徐々に、季節との才能の差に悩まされていく事になる。 その度に季節に激励されるが、それすら辛くなったところに妻の死が重なる不運。 はっきり言って原作より落ち込みようが酷い。 原因は間違いなく季節である。 後のことはお察しください。 季節津衣鯉 当時ピッチピチ の14歳だった、現在34歳の当作主人公。 ただし精神年齢はXX歳 自主規制 だ。 ちなみに、カナエさんは22歳くらいだと思ってください。 記憶を思い出す前は、不死川兄みたいな感じだった。 だから、不死川兄を見ていると昔の自分を見ているようで居心地が悪い。 ちゃんとできるんだから、口調直そう?そしてそんな季節に、不死川兄はめちゃくちゃ噛みついてくる。 実は前世の記憶を思い出す前に、原作キャラと遭遇していた。 思い出してから、「やっべーよ、とんでもなく生意気な態度取っちゃってたじゃん俺!!」と自分にビビる。 なので鱗滝さんに会いに行くときはちょこっとだけ言葉遣いに気をつけた。 大丈夫、まだ素の口調が悪いことは知られていない。 今の喋り方が確立したのは20歳くらい。 異様に出世が早い。 入隊一年半で丁まで階級を上げた才能お化け。 その後、炎柱である槇寿郎との合同任務が二年ほど続いたため、鬼の討伐数は50を超え、下弦の鬼も二体屠った。 以降、お館様から柱襲名打診されては断り、されては断る。 そりゃあ、槇寿郎も自分の才に悩んで落ち込むわけである。 赤ん坊だった煉獄杏寿郎をあやし、おしめを換えた事もある。 なんなら杏寿郎は父親の槇寿郎よりも季節に懐いていた。 しかし、その事を杏寿郎は覚えていない。 後々、そんな話をするかもしれないし、しないかもしれない。 もししたとしたら、もれなく音柱に聞かれて爆笑される。 憐れ、杏寿郎。 槇寿郎とは何らかの約束をしていた。

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ギャクを目指してます。 鬼滅の刃読み始めて1ヶ月くらいの初心者です。 3日で書いたクオリティ。 なんでもお許しいただける女神さまのみお進み下さい。 そう疑問に思う日は唐突にやって来た。 水面に映る顔を見て、あれ?この子見たことあるなって思った。 黒いふわふわした髪。 特徴的な太い眉毛と意思の強そうな翡翠色の瞳に、水色の勾玉の首飾り。 4巻で善逸君に桃を投げつけて、17巻の4話分くらいで倒されてしまう我が嫁、善逸君の宿敵。 初めて見た時は「あっけない…」そのひと言に尽きた。 私は思った。 要は彼は生きて、誰かに認めて貰いたかったんじゃないでしょうか。 小者臭がするというか、人間臭くて良い。 獪岳は同情して貰えそうな部分もあるんだろうけど、彼自身の行いがそれをぶち壊してしまっている。 例えば幼い頃に鬼に会い、鬼殺隊に入れば上弦の壱に会っちゃうとか。 選択肢が死亡しかない。 運悪すぎ。 まぁ、だからと言って、自分が助かるために誰かを犠牲にして良いわけじゃないけれど。 ほっぺたを摘んでみる。 水面の中の少年も左右対称で同じ動作をしている。 成り代わり主人公がこんな風に叫んでるのも100回くらい見たな。 腐女子なもんで初めは腐ったものを読んでたんですよ。 …原作の展開が辛すぎて、幸せな結末を求めて夢小説漁るようになりました。 アナタもイズレそうなります。 なんだよ、日本一慈しい鬼退治って。 善逸君の兄貴分というポジションは素晴らしい。 美味しい。 どうやったら生きのびて、善逸君に会うことができるだろうか。 それが私の目標となった。 その辺が思い出せない。 アラサーで、腐女子で、嫁に貢ぐために夜勤専従でお金を稼いでいたんだが、師長さんに嫌われてたのかエゲツないシフトばかりだったから、血反吐吐いて死んだのかな。 慢性胃痛持ちだったしあり得るな。 唯一の心残りはあのオタク部屋を誰が片付けてくれるかということです…。 親を鬼に殺されて孤児になり、悲鳴嶼さんに拾われた。 お寺で他の子ども達と暮らしている…。 でも私という自我を取り戻すまでのことは、ヴェール越しに誰かの人生を見ているようで実感がなかった。 そういえばこの身体の本当の持ち主の獪岳は、どこに行ってしまったのだろう。 出来れば魂はこの身体のどこかに居て、私と一緒に生きていて欲しい。 作者様は屈託なく笑う獪岳を描いていた。 エゴかもしれないけれど、違う生き方も出来るのだと私の目を通して見ていて欲しいのだ。 (獪岳、貴方は私を知らないだろうけど、私は貴方のことが好きだよ) 幸福の閾値も愛情の尺度も人それぞれだ。 どんなに人から愛情を向けられてもそれがわからない人だっている。 獪岳はきっとそうだった。 善逸君が言っていたように幸せの箱に穴が空いてるって表現は的を得ている。 (でも毎日毎日呼びかけ続けたら、流石に届くかもしれないじゃん?) 目を閉じてそっと、貴方が好きだよ、大事だよって話しかける。 愛情や想いは相手に正しく伝わらないと意味がないから。 いつか、獪岳に届きますように。 水道なんてないから、朝起きたら水くみから始まる。 井戸の水なんてくみ上げたことなんてなかったけど、この身体がちゃんと覚えてくれていたから助かった。 井戸に落とした縄を引いていると、突然軽くなって影が出来た。 「獪岳」 「行冥さん、おはようございます」 悲鳴嶼さんは見上げるくらい背が高くて痩せている。 ひとりで生きていたなら、また違っただろうに。 私はこの人を尊敬している。 20にも満たないに年齢で、血の繋がりのない9人もの子どもをひとりで育てているのだ。 アラサーでも自分のことで手一杯だった私とは違う。 「いつも朝から水くみ、ありがとう」 「俺ひとりで大丈夫ですよ?」 「獪岳は最近頑張り過ぎているからな…」 そう言って水の入った桶を引っ張り上げてくれた。 (ちゃんと自分のことを見ていてくれる人がいるっていいな) 悲鳴嶼さんは言っていた。 子どもというのは、純粋無垢で弱く、すぐ嘘をつき残酷なことを平気でする我欲の塊だと。 獪岳としての今までの記憶はあるけれど、私としての意識が戻ったことで変わったこともあるのだろう。 何かが違うっていうのが子どもにはわかるらしい。 なんとなく遠巻きにされていて、変わらず懐いてくれているのは4歳の沙代ちゃんだけだった。 確かに今までとちょっと中身が違うけれど、害はないのだと言葉と態度で示していくしかない。 私は率先して働くようになった。 恩人である悲鳴嶼さんの役にも立ちたかったし。 「無理をしてはいけない…」 頭を撫でてくれる大きな掌がくすぐったい。 見上げると光を灯さない瞳からボロボロ涙が溢れ落ちている。 心配してくれているのは嬉しいけど、本当に涙もろいな。 この人。 「わかりました。 でもそれは行冥さんもですからね」 「あぁ…わかった」 「約束ですよ」 この時代に9人もの子どもを育てるのは並み大抵のことではないことは私にもわかった。 悲鳴嶼さんは私達が飢えぬように朝から晩まで働いている。 私はこの人の力になりたいのだ。 「かいがくお兄ちゃん、あそんで」 「沙代」 転がるようにやって来た沙代ちゃんが足元に縋り付いてくる。 「獪岳、ここは大丈夫だから行ってやりなさい」 「はい。 行って来ます」 「おんぶして」 両手を伸ばしてくる沙代ちゃんに背を向けて屈む。 「姫君、どうぞ」 「わぁい」 背中に温かい重みが加わる。 私は、獪岳は今幸せだ。 暮らしは貧しいけれど、お互いに助け合い暮らしている人達がいる。 「おうたうたって」 「歌か〜」 子守唄ってきっと子どもの頃親が歌ってくれたんだろうけど覚えていないから、炭治郎君がねずこちゃんに歌っていた歌をいつも歌って聞かせている。 こんこん小山の仔うさぎは なぁぜにお耳が長うござる 小さい時に母さまが 長い木の葉を食べたゆえ そーれでお耳が長うござる 獪岳は良い声をしてるな。 沙代ちゃんがきゃっきゃっと喜んでいる。 生きのびることが目標だったけれど今は、この幸せを守りたい。 鬼に会わない方法は夜外に出歩かないことと、藤の花のお香を忘れずに焚くこと。 それと… 「沙代」 「なぁに?」 「行冥さんが言ったことは必ず守ること。 約束出来るか?」 「わかった!かいがくお兄ちゃん」 どんな状況であっても悲鳴嶼さんを信じること。 他の子たちにも伝えておこう。 幸せが壊れる時には、いつも血の匂いがするって。 夜、藤の花のお香は焚いていた。 出歩いていた子どももいなかった。 それなのに鬼はやって来て、すぐに4人殺された。 私は隣で寝ていた沙代ちゃんを抱き締めて悲鳴嶼さんの言葉に従った。 私は知っていたから。 逃げたら、喉を掻き切られて殺される。 悲鳴嶼さんの背後に居たら助かるということを。 だから、逃げた3人を追いかけることは出来なかった。 悲鳴嶼さんが戦っている。 拳を振り上げ、鬼を殴る鈍い音、鬼の悲鳴、血の匂いで吐き気が込み上げてくる。 沙代ちゃんが泣いている。 こんな小さな子に、こんなにも怖ろしいことを覚えさせてはいけない。 私は沙代ちゃんが眠れるように、腕の中であやしながら子守唄を歌った。 こんこん 小山の仔うさぎは なぁぜにお目々が赤うござる 小さい時に母さまが 赤い木の実を食べたゆえ そーれでお目々が赤うござる 悲鳴嶼さんが鬼の頭を殴り潰し続ける音と子守唄が響く地獄のような時間を、沙代ちゃんが眠ってくれたのが唯一の救いだった。 血の匂いに吐いて、気が狂いそうな恐怖の中で私は獪岳の記憶を見た。 『獪岳、逃げて。 貴方は何をしてもどんなことがあっても生き延びて』 背を押されて必死に走った。 足がもつれて転ぶまで、肺が潰れそうになるまで走って逃げた。 貴方は何をしてもどんなことがあっても生き延びて。 その言葉は呪いのようだった。 「行冥さん」 悲鳴嶼さんは鬼が消えた後も床を殴り続けていた。 私は眠っている沙代ちゃんを床に寝かせると悲鳴嶼さんに声をかけた。 「行冥さん、ありがとうございます」 少年の力では振り上げられる腕を止められそうになかったから背中に抱きついた。 「鬼は消えました」 思いのほか、細い背中だった。 動きがぎこちなく止まり、荒い呼吸を繰り返している。 この人は一晩で多くのものを喪い、傷つき、疲れ果てていた。 「…ありがとうございます、沙代と俺を助けてくれて…」 だから、せめて私だけはこの人にありがとうと伝えないと。 そう思い声を振り絞ったけれど、最後の方は嗚咽で言葉にならなかった。 私がいくら鬼にやられた、悲鳴嶼さんは私達を守ってくれたと言っても信じて貰えなかった。 沙代ちゃんとも引き離され、悲鳴嶼さんは手錠を掛けられて連行されそうになったので、私は悲鳴嶼さんに張り付いて一緒に連れて行けと叫んで暴れた。 警察官は引き離すのが面倒になったのか、私も警察署に連れて行かれて牢屋に入れられた。 その時に助けてくれたのが、原作通りお屋形さまだった。 原作と違うのが獪岳が、この時にお屋形さまと会ったってこと。 「獪岳、君は不思議な子どもだね」 ピンと伸びた背すじ。 立ち振る舞い、14歳にはとても見えない慈愛に満ちた眼差し。 いえ、貴方さまのほうが不思議です。 「君には魂がふたつあるようだ」 「えっ…」 確か、先見の明だったか。 この方の勘は凄かったはず。 (じゃあ、獪岳はちゃんとこの身体の中にいるんだ) …良かった。 「産屋敷さま」 「なんだい」 この人はきっと私がこれから言おうとしていることを知っている。 そんな気がする。 「わたしも鬼殺の剣士となりたいのです。 君を導く師を与えよう」 「ありがとうございます」 私は深々と頭を下げた。 「獪岳、おまえは違う道を選ぶことも出来るのに、何故…」 悲鳴嶼さんは優しいから反対してくれるってわかっていた。 「行冥さん、俺も戦うって決めたんだ」 悲鳴嶼さんの腹に抱き付く。 「貴方が俺を助けてくれたように、俺も誰かを助けられるように強くなるよ」 「獪岳…」 藤の花のお香を焚き、手引きをした子どもが居なくても鬼はやって来た。 あの時に悟ったのだ。 原作の大筋は変えることが出来ないのではないかと。 それでも私というイレギュラーな存在が居る。 そのことで水面に落ちた石のように、拡がった波紋から何か変えられることがあるのかもしれない。 だから、ここで鬼殺の剣士を目差すことが一番の近道なのだと。 どんな道を選んでも獪岳として生きる限り、あの鬼から逃れることは出来ないだろう。 私は人として生き、そして死にたい。 せめて一死報いるために強くなろうと、心に誓った。

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こんこん 小山 の 子 うさぎ は なぁ ぜ に お 耳 が 長 う ござる

「禰豆子ちゃんは良い子ねぇ」 そう言って頭を撫でる手が好きだ。 お兄ちゃん 誰かさん の手には負けるけれど。 「こんこん小山の子うさぎは…なぁぜにお耳が長うござる…」 ああ、その唄は知ってる。 誰かが唄っていたのを、聞いたことがある。 …… お母さんだったかな? 誰だったっけ? でも、どうして、この人が知ってるんだろう? 「小さい時に母様が… 長 なーが い木の葉を食べたゆえ…」 優しくて、柔らかくて、暖かい声。 疑問なんて、どこかに飛んでいってしまう。 お母さん 誰か も、こんな風に唄っていたのかもしれない。 ……ううん、きっと、そう、こんな風に唄っていた。 泣きたくなるくらいの、 幸せ 悲しみ の匂いがする。 けど、俺のせいではないとも思う。 だって、それだけ衝撃的だったんだ。 年上なのは分かってたけど、まさか干支が一回り以上も離れているとは思っても見なかった。 申告してきた 季節さん 本人 は、困った顔で本当だよ、と言っている。 それでも信じられなくて、すがるように見たカナエさんは、清々しい笑みを浮かべてこう言った。 「十歳以上歳が離れているからって、それが障害になるとは思ってないわ」 そんなカナエさんの膝の上では、どこからともなくやって来た禰豆子ちゃんがすやすやと寝息を立てている。 可愛い。 炭治郎と一緒に行ったのかと思ってた。 とても可愛い。 参ったな、と頭を掻く季節さんの顔は赤い。 相変わらず仲睦まじくて羨ましい限りですね。 爆発して欲しい。 絶対カナエさんを幸せにしてあげなくちゃダメですよ。 この色男め。 季節さんの顔を見ていて、とても表情が豊かなんだなと思った。 お面をつけたままでも、結構豊かだったけど、余計に。 というか、お面をつけてるときは意図的に感情を表に出していたんだと思う。 喜怒哀楽がはっきりしている。 けれど、その身から聞こえてくる音は雨の音だ。 不思議だよね。 「お館様も含めて、鬼殺隊内で一番上なんだ。 煉獄が赤ん坊だった頃の姿も知ってるよ」 なんか、またとんでもないことを言い出したぞこの人。 え?何て??煉獄さんの赤ん坊時代???? 「あの……ちなみに、なんですけど」 「うん?」 「煉獄さんって、何歳なんですか?」 「確か今年で二十だったかな」 「にじゅう」 「そう、二十」 「私の二つ下ね」 「カナエさんのふたつした」 「そうよ」 ちょっっっっっっと待って??あの煉獄さんが??二十歳????え????はぁ???? 「え、嘘じゃなくて??」 「嘘じゃないなぁ」 若くね??????思わず真顔になりながら、叫ぶのも忘れて考え込む。 え?若いな??もうちょっと年上かと思ったんだけど、煉獄さん、俺と四歳しか違わないの??それで柱??あっ、でもしのぶさんは俺と二歳違いで柱か。 そして、一瞬だけ真顔になると、苦笑を浮かべて沁々と言った。 その実力は本物だし、物言いにちょっと難はあるが、弱きを助け、護ろうという気概は柱に相応しいものだと思う。 …けれど、俺よりも二回り近く年若い、幼いと言っても過言ではないあの子に、刀を握らせてしまったことが心苦しくもある」 しとしと、と。 消え入りそうなほど静かな雨の音が聞こえてくる。 これは、季節さんの心が奏でる、悲しみの音なんだと思う。 小雨ほど強くはなく、霧雨ほど弱くもない。 何とも言えない、絶妙な静けさを奏でる雨の音。 「鬼舞辻無惨を倒さなければ、無一郎のような子が増えていく。 それは、避けたい。 だから、急がなければならない。 その時の季節さんの瞳が、鬼の目のように見えたのは、俺の見間違いだったのだろうか。 **** 息子が生まれてから三か月後、奇妙な格好の客人が煉獄家に訪れた。 それは、左頬に三つ雫が描かれた狐の面を被り、朝焼け色の羽織をまとっていた。 年の頃は十代半ば、性別はどちらとも言えない。 声を聴けばどちらか判別付きそうではあるが、その狐面の人は一言も喋ろうとはしなかった。 たまたま任務もなく家にいた槇寿郎は、この客人に困惑した。 用向きを尋ねても無言、中に入るよう促しても無言ときた。 その声を耳にして、槇寿郎は思わず手紙を取り落とした。 少年期独特の甲高さは無くなっているが、その声に聞き覚えがあったからだ。 「お前、季津か」 ニィッ、と。 無機質な狐の面が、笑ったような気がした。 二年ぶりに再会した季津は、今年で十四だと言う。 確かにそれくらいの年に見える、と槇寿郎が言えば、偉そうに胸を張る。 それがどうにも癪に触って、小さいことには変わりないと頭を撫で繰り回してやった。 「やめろ!!せっかく成長期が仕事してんのに、縮むだろうが!!」 何とも不思議な言い回しに笑い、名残惜しかったが頭から手をどけてやる。 そうして、上から下までまじまじと、季津のことを見つめた。 黒の隊服は鬼殺隊の物だし、その腰に差された刀は勿論日輪刀。 その反対の腰には脇差があるが、その柄を見る限り、以前使っていた日本刀を短く摺り上げたものと察する。 猫の毛のように柔らかな髪は、雨が上がったような色合いをしていて、朝焼け色の羽織によく似合っていた。 狐の面の下には、あの新緑色の目が隠れていることだろう。 そんな言葉が脳裏を過り、喉が引き攣る。 鼻の奥がツン、と痛み視界が霞んだ。 「何で泣いてんだよ」 「歳を取ると涙腺が弱くなるんだ」 「俺と六つしか違わねぇじゃん」 情けねぇなぁ、と。 笑う気配をさせながら差し出された手拭いを受け取って、槇寿郎も笑みを浮かべる。 「自己紹介をやり直そう」 ぐい、と涙を拭い、深呼吸を一つ。 二年前よりも大きくなったその姿をしっかりと見やり、槇寿郎は言った。 「俺は、煉獄槇寿郎。 恐れ多くも炎柱を任されている。 君の名を教えてもらっても良いだろうか?」 ぐい、と面が上げられ、新緑色の双眸が覗く。 整った顔つきは健在で、涼しげな目元に笑みが浮かんだ。 「俺は、季節津衣鯉。 昨年鬼殺隊に入隊したばかりだが、階級は 丁 ひのと だ!!」 ほう、と感嘆の息が零れる。 「一年でそこまで階級を上げたか……無理をして身長が止まるのではないか?」 「止まんねぇよ!?まだまだこれから伸びるんだよ!!」 「しかしなぁ…鬼殺隊の活動は夜間であるし、いくら伸び盛りとは言っても、任務が連日続けば体にも影響はあるだろう」 「そ…れは、そう、かもだけど……」 「育手の方に心配されてはいないか?」 「そんなへましねえ」 「なるほど、猫を被っているのか」 「被ってねーし!!鱗滝さんの前でもわりと素のままだし!!口調は気をつけてるけど…」 「それを、猫を被っている、と言うのだ」 「……」 「……ふ、」 勝った、と思った。 高々一度会った事がある程度の槇寿郎に、育手よりも砕けた態度で接しているという事実に頬が弛む。 鱗滝、と言えば水柱を務めた実力のある剣士だったはずだ。 その彼に師事したとあれば、階級の上がり具合にも納得がいく。 何より、津衣鯉自身が、剣の才に恵まれているのだ。 「今一度、問うてもよいだろうか」 「ん?」 頭を撫でていた手を降ろし、表情を引き締める。 空気が変わったのが分かったのだろう、津衣鯉も面を取って槇寿郎の顔を真っ直ぐに見上げた。 「何のために刀を取った」 それは、二年前の繰り返しのようで。 じんわりと滲むように薫る雨の匂いに、ゴロゴロと遠くで雷が鳴っていた。 その眼差しは槇寿郎を貫かんばかりに愚直で、ほんの一瞬だけ、気のせいかもしれないが。 「 鬼の、目だ 」 瞳孔が縦に割れたように見えた。 視線を逸らすことも出来ぬまま、互いに見つめあっていると、ぎゃあぎゃあと家の中から凄まじい泣き声が聞こえて来た。 その声に大仰に肩を跳ねて飛び上がった津衣鯉に笑い、上がっていけ、と背中を押す。 まるで借りて来た猫のように大人しくなり、小さな声でお邪魔します、と言う姿は、先程までの異質さはどこにもない。 むしろ年相応さすら感じられて、槇寿郎は酷く安堵した。 奥から妻が息子をあやしながらやってくる。 その姿に口を開けて釘付けになっている津衣鯉に、槇寿郎はまた笑った。 竈門禰豆子 珍しく 炭治郎 お兄ちゃん に置いていかれた妹。 しのぶさんが怪我が治るまで気を利かせて預かってくれただけでなく、カナエさんがめちゃくちゃ構ってくれるのでめちゃくちゃ懐いた。 たぶん、喋れるようになったら、 炭治郎 お兄ちゃん の次くらいにカナエさんの名前を呼ぶと思う。 お気に入りはカナエさんのお膝の上。 季節とのファーストエンカウントは18歳の頃、炎柱になる直前くらいを想像。 瑠火さんとは既に結婚していて、子供が出来るのをウキウキと待っていた。 季節が藤の家紋の子であると知り、後日その家が鬼に襲われたかもしれないと聞いてめちゃくちゃ心配した。 セカンドエンカウントは二年後。 槇寿郎は20歳、息子が生まれた3ヶ月後にひょっこり現れて、めちゃくちゃ安心したし、涙ちょちょぎれた。 ただし、顔面に手紙を叩き付けてきたことは許さない 手紙はお館様からの物でした。 季節のことは名前で呼ぶ。 この後、季節との合同任務が増え、季節のストッパーをやりながら徐々に徐々に、季節との才能の差に悩まされていく事になる。 その度に季節に激励されるが、それすら辛くなったところに妻の死が重なる不運。 はっきり言って原作より落ち込みようが酷い。 原因は間違いなく季節である。 後のことはお察しください。 季節津衣鯉 当時ピッチピチ の14歳だった、現在34歳の当作主人公。 ただし精神年齢はXX歳 自主規制 だ。 ちなみに、カナエさんは22歳くらいだと思ってください。 記憶を思い出す前は、不死川兄みたいな感じだった。 だから、不死川兄を見ていると昔の自分を見ているようで居心地が悪い。 ちゃんとできるんだから、口調直そう?そしてそんな季節に、不死川兄はめちゃくちゃ噛みついてくる。 実は前世の記憶を思い出す前に、原作キャラと遭遇していた。 思い出してから、「やっべーよ、とんでもなく生意気な態度取っちゃってたじゃん俺!!」と自分にビビる。 なので鱗滝さんに会いに行くときはちょこっとだけ言葉遣いに気をつけた。 大丈夫、まだ素の口調が悪いことは知られていない。 今の喋り方が確立したのは20歳くらい。 異様に出世が早い。 入隊一年半で丁まで階級を上げた才能お化け。 その後、炎柱である槇寿郎との合同任務が二年ほど続いたため、鬼の討伐数は50を超え、下弦の鬼も二体屠った。 以降、お館様から柱襲名打診されては断り、されては断る。 そりゃあ、槇寿郎も自分の才に悩んで落ち込むわけである。 赤ん坊だった煉獄杏寿郎をあやし、おしめを換えた事もある。 なんなら杏寿郎は父親の槇寿郎よりも季節に懐いていた。 しかし、その事を杏寿郎は覚えていない。 後々、そんな話をするかもしれないし、しないかもしれない。 もししたとしたら、もれなく音柱に聞かれて爆笑される。 憐れ、杏寿郎。 槇寿郎とは何らかの約束をしていた。

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